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Last Decade

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2005年 05月 23日

ソルトレイクシティ-デンバー

着いた時と同じように、ユースから車でバスターミナルまで送ってもらった。空が曇っていたので、余計に寒々と感じられた。デンバーまでは約10時間近くかかる。ということは、朝早くに出発して、夕方には到着するので、丸一日を移動に潰してしまうことになった。どんなルートを通っていくのか調べてみたところ、途中はほとんどユタ州の隣にあるワイオミング州をひたすら東へ走り、最後になってようやく南下して、コロラド州に入っていくようだった。

乗客も疎らな車内では、いつも通りにドライバーに近い席に座った。まだ早いのでうとうとしていたが、しばらくすると人が住んでいるような集落は消えて、全く何もない平原が広がっていく中にある片側1車線の道をバスはひらすら進んでいった。時々対向車とすれ違う以外は走っている車もほとんどないので、ドライバーは眠気防止のためだろうか、口の中でくちゃくちゃと何かを食べていた。遠く地平線がかなたに広がっている光景はまさにアメリカという感じで一旅行者にとっては全く飽きることがなかったが、いつもこの道を通っているドライバーには退屈で仕方がないのかもしれなかった。

昼少し前に、山間にある小さなリゾート地のような場所に到着した。名前は忘れてしまったが、スプリングス という文字が付いていたので温泉でもあるのかもしれなかった。ドライバーから休息も兼ねるので昼食を取りたい人はここで降りて下さいとの説明があった。30分後に、また迎えに来るということなので、再度ドライバーに時間を確認してバスを降りた。ちょうどウェンディーズがあったので、ハンバーガーを食べることにした。日本とは違って、アメリカではバーガーキングウェンディーズマクドナルドと同じくらいの規模でそこら中にあり、マクドナルド の慣れ親しんだ味より新鮮味があり、かつボリュームがあって美味しかった。

そろそろ時間になったので、外に出て待っていた。時間になってもバスが来ないのだが、少しぐらい遅れているのだろうと気長に構えていたが、10分経っても20分経ってもバスは一向に現れる気配がない。店からは窓越しにずっと降りた場所が見えていたので、よもや自分が乗り忘れたということもないだろう。実はもう一人だけバスを降りた女子高生らしき女の子がいて、最初は余裕を見せていたが、45分ぐらい過ぎると彼女もまずいと思い出したのか、泣きながら家に電話をかけているようだった。

まだ電話する相手がいるだけマシであり、こっちはこんなわけのわからない場所で取り残されたら、貴重品以外の荷物をバスの下に預けているわけだし、次のバスを待とうにも一日一本しかないのだから途方にくれるしかない。泣いている女の子に、ちょっと周辺を探してくるから、もしバスが来たら僕が戻ってくるまで待っていてくれるよう念を押した後、探しに出た。雪が高く積んであって、視界が悪くバスは見つからなかった。一応、泊まれるところなどはありそうなので、生死に関わるといった不安はなかった。ただ原因がわからないだけに混乱してしまった。

再び、降りた場所に戻って待つこと1時間半ほど、とにかくデンバーのバスターミナルに電話をして、荷物だけは保管しておいてもらおうと考え始めた時、乗っていたバスがようやく現れた。女の子は途端に喜び出して、バスに手を振っている。ドライバーがバスから降りてきて事情を説明した。どうやら雪道でスタッグ してしまったらしかった。ソルトレイクから乗っていた乗客も大変だったのだと口々に言った。ただ待っていた身からすると、誰か連絡くらいはして欲しかったと思ったが、まずはバスに乗れてほっとした。

結局2時間ぐらい遅れての出発となった。ということは、当然デンバーに着くのもそれだけ遅れるということだった。計算すると夜の8時頃になってしまう。昼間の便を利用した理由は途中の景色を楽しみたかった他に、ロッキー山脈 を越えた後に突然現れるといわれるデンバーの夜景を見たかったからだ。冬なので6時でも充分に日が暮れているだろうという目論見もあった。ただ8時となると、今度は逆に遅すぎてバスターミナルからホテルまでの移動が危うくなってくる。泊まる予定だったホテルはターミナルからは数ブロックのところにあり、徒歩で行くつもりだった。数ブロックといってもアメリカのそれは結構な距離になり、周辺の治安もそれほど良くはなさそうだった。初めての街にはある程度余裕を持って早く到着するという旅の鉄則があるにもかかわらず、ひとつのトラブルの為に新たなトラブルが発生するという嫌な連鎖が起こり始めていた。

by gonburimo | 2005-05-23 23:48 | North America 1996


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